小学校低学年の頃、実家のある宮崎県からの帰り、長時間の汽車の中で退屈だろうと、
初めて母が私にマンガ雑誌を買ってくれた。
うれしくてうれしくて、いっしょに買ったバヤリースオレンジの缶ジュースを
チビチビ飲みながらゆっくり読んだ思い出がある。
しかし、それだけ丁寧に読んでおきながら振り返ってみれば、
どんなマンガが掲載されていたのか?ストーリーは?と、ほとんど…と言って良いほど、忘れていた。
覚えていたのは、その雑誌が「少年マガジン」であった事と「ゴキブリ」という名の主人公が
天地の狭い空間を、その名のごとく横這いしているポーズの表紙絵だけである。
なぜかそれだけはハッキリと覚えていた。そして時々それを思い出していた。
「もう一度みたいな…」とは思っていたが、そんな昔のおぼろげな記憶しかない、
読み捨てられて終わりのマンガ雑誌と対面できるなどとは
考えてもいなかった。ところが…
<つづく>
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